先に結論を書きます。
松井証券のiDeCoでは、2024年8月から保有している投資信託がポイント還元の対象になりました。ただし、よく見かける"最大1%"という数字をそのまま受け取ると、たぶんがっかりします。

公式のニュースリリースに書かれているiDeCo対象銘柄の還元率は"0.018〜0.36%"。1%ではありません。

そしてもう一つ。ポイントを受け取るには"毎月エントリーする"必要があります。忘れた月は、残高がいくらあっても0円です。さらに、投資信託のサイトでiDeCo口座を登録していないと、そもそも対象になりません。

この記事では、実際にいくら貯まるのかを毎月かかる手数料と並べて確認します。使ってみた感想ではなく、公式ページ・公式リリース・厚生労働省の資料に書かれている内容だけで整理します。

結論:貯まります。ただし0.36%が上限で、毎月の手続きが要ります

iDeCoを扱う金融機関はたくさんありますが、"iDeCoで持っている投資信託にポイントが付く"ところは多くありません。
松井証券は2024年8月から、これを始めました。同社は"業界初"と表現しています。

ここまでは事実です。問題はその中身で、押さえておきたい数字が2つあります。

💰

還元率は0.018〜0.36%

公式リリースに書かれているiDeCo対象銘柄の範囲。"最大1%"は投資信託サービス全体の数字

📅

毎月エントリーが必要

忘れた月は残高がいくらあっても0円。一度やれば続く仕組みではない

💳

元本確保型は対象外

40商品のうち1本。残りの39本はすべて対象

🔑

口座の登録も必要

投資信託のサイトでiDeCo口座情報を登録しないと、そもそも付かない

ひとことで言うとポイントは"おまけ"として見ておくのが妥当です。還元率で金融機関やファンドを選ぶより、運営管理手数料が0円かどうか、そして選びたい商品があるかどうかで判断したほうが、金額としては大きく効きます。

「最大1%」の中身を確認する

松井証券の投信残高ポイントサービスは、サイト全体で"最大1%"と案内されています。ただしこれは投資信託のサービス全体の話です。

iDeCoについては、2024年6月26日のニュースリリースにはっきりと数字が書かれています。対象は投信39銘柄で、還元率は0.018〜0.36%。銘柄によって違い、1%の銘柄はありません。

実際にいくらになるのか、公式の計算式に当てはめてみます。

月末の残高 還元率 0.018%
対象銘柄の下限
還元率 0.36%
対象銘柄の上限
10万円 1円/月 30円/月
50万円 7円/月 150円/月
100万円 15円/月 300円/月
300万円 45円/月 900円/月
年間にすると(100万円の場合) 約180円 約3,600円
※ 公式の計算式「月末保有金額 × 各投信のポイント還元率 × 1/12」に当てはめた試算です。銘柄ごとに1円単位で計算され、小数点以下は切り捨てられます。実際の還元率は銘柄によって異なり、変更されることがあります。

iDeCoの計算式は"月末保有金額 × 各投信のポイント還元率 × 1/12"です。通常の投資信託は月間の平均残高で計算されるので、iDeCoだけ月末残高ベースという違いがあります。

そして見落としやすいのが、銘柄ごとに1円単位で計算して小数点以下を切り捨てる点です。残高が小さいうちや還元率が低い銘柄では、計算結果が1円未満になって0円のまま、ということが起こります。

元本確保型は対象外

取扱商品40種類のうち、元本確保型の1本はポイントの対象外です。残りの39本はすべて対象で、松井証券は"取り扱う全ての投資信託が対象になるのは当社のみ"としています。

定期預金などの元本確保型だけで運用している場合、ポイントは付かないことになります。

iDeCoの運用状況とポイント残高をパソコンで確認しているイメージ
iDeCoの運用状況とポイント残高をパソコンで確認しているイメージ

ポイントを受け取るために必要な3つのこと

ここがこの記事でいちばん伝えたい部分です。

口座を開いて投資信託を買えば自動で貯まる、という仕組みではありません。公式の取引ルールを読むと、条件が3つあります。

3つ全部そろって、はじめて1円が入る
① 総合口座とiDeCo口座、両方を開く
iDeCo口座だけでは足りません。ポイントの仕組みが投資信託のサービス側にあるためです。
② 投資信託のサイトで、iDeCo口座情報を登録する
公式の取引ルールに「未登録の場合は付与対象外」と明記されています。口座を持っているだけでは自動で紐づきません。
③ 毎月末までにエントリーする(ここが一番忘れる)
エントリーしなかった月は、残高がいくらあっても0円です。一度やれば続くタイプではなく、毎月必要です。なお投資信託とiDeCoは共通のフォームなので、1回のエントリーで両方が対象になります。
付与は翌月15日頃。ポイントの有効期限は原則として付与日の翌々年度の3月末日です。使い道は投資信託の購入か、dポイントへの交換(1ポイント=1円)になります。
エントリーは毎月です公式の取引ルールには"毎月末までに、所定のエントリーフォームよりエントリーいただいた方を対象として、翌月15日頃にポイントを付与します。エントリーいただけない場合は付与対象外となります"と書かれています。
つまり、うっかり忘れた月は還元がありません。カレンダーやスマホのリマインダーに毎月の予定として入れておかないと、気づかないうちに取り逃すことになります。

なお、投資信託とiDeCoはエントリーのフォームが共通です。月に1回そのフォームから手続きすれば、両方が対象になります。

また、このサービス自体について公式には"事前の予告なく内容を変更または終了する場合があります"と書かれています。還元率も対象銘柄も、ずっと同じとは限らないという前提で見ておくのが安全です。

「運営管理手数料0円」でも、毎月171円はかかる

iDeCoの金融機関選びでよく比べられるのが運営管理手数料です。松井証券はこれが0円で、残高や取引による条件もありません。過去に加入・移換・運営管理機関の変更をした人も対象だと明記されています。

ただし"手数料無料"という言葉から、何もかからないと受け取ってしまうと違います。iDeCoには金融機関に関係なくかかる共通の費用があります。

かかるとき 金額 支払先
加入時・移換時 2,829円 国民年金基金連合会(各社共通)
毎月(掛金を出す月) 171円 国民年金基金連合会105円 + 信託銀行66円 + 松井証券0円
毎月(掛金を出さない月) 66円 信託銀行のみ
受け取るとき(給付) 440円/回 信託銀行
還付されるとき 1,488円/回 国民年金基金連合会1,048円 + 信託銀行440円
他の金融機関へ移すとき 4,400円 松井証券
※ 2026年8月時点の公式ページの記載です。「運営管理手数料0円」は松井証券に払う分がゼロという意味で、上の共通分は他社でも同じようにかかります。

毎月かかる171円のうち、松井証券に払う分は0円です。残りの171円は国民年金基金連合会と信託銀行に払うもので、これはどの金融機関を選んでも発生します。

年間にすると2,052円。さきほどのシミュレーションと並べると、還元率0.36%の銘柄を100万円分持っていれば年3,600円相当のポイントなので手数料を上回りますが、還元率が低い銘柄や残高が小さいうちは、ポイントで手数料を賄えるとは限りません。

移す予定があるなら覚えておきたい数字松井証券から他の金融機関へ移換するときは4,400円かかります。iDeCoは金融機関を後から変えられますが、口座の移し替えには時間もお金もかかるので、最初に選ぶときに調べておくほうが結果的に楽です。
松井証券のiDeCoを公式サイトで見る →

※ 手数料の内訳は公式サイトの「手数料」ページに掲載されています

2026年12月から、iDeCoの上限額と年齢が変わります

もう一つ、この時期に知っておきたい話があります。

厚生労働省がリーフレットで案内しているとおり、2026年(令和8年)12月からiDeCoの制度が変わります。掛金の上限が上がり、加入できる年齢も広がります。

加入資格 いまの上限(月額) 2026年12月から
第1号被保険者・任意加入被保険者
自営業者・フリーランスなど
68,000円
国民年金基金と合わせて
75,000円
国民年金基金と合わせて
第2号被保険者
会社が企業年金を実施していない会社員
23,000円 62,000円
企業年金と合わせて
第2号被保険者
会社が企業年金を実施している会社員
20,000円
企業年金と合わせて55,000円
62,000円
企業年金と合わせて
加入できる年齢 65歳になるまで 70歳になるまで
※ 厚生労働省のリーフレット「令和8年12月から iDeCo がパワーアップします!」より。第3号被保険者(専業主婦・主夫)はこの表に記載がないため、ここでは触れていません。

会社に企業年金がない会社員の場合、月23,000円だった上限が62,000円になります。2倍以上です。企業年金がある会社員も、企業年金と合わせて62,000円という共通の枠に一本化されます。

年齢のほうは、いまの65歳未満から70歳未満に広がります。厚生労働省の資料には"例えば、50歳の方がiDeCoを始めても最大20年間の掛金の拠出が可能"という例が挙げられています。

60歳以上の人には経過措置があります

年齢の引き上げには要件があり、iDeCo加入者・iDeCo運用指図者・企業年金からiDeCoに移換する方のいずれかで、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていないことなどが条件になります。

ただし経過措置として、令和11年11月末まではこの要件に当てはまらない60歳〜70歳未満の方でも新たに加入できるとされています(老齢基礎年金を受給している方など、一部の方は除きます)。

掛金の所得控除は今までどおり続きます。掛金を増やせば、その分だけ所得控除も大きくなります。ただし実際にどれだけ税金が変わるかは年収や他の控除の状況で違うので、金額はご自身の状況で確認してください。

2026年12月のiDeCo制度改正について調べているイメージ
2026年12月のiDeCo制度改正について調べているイメージ

始める前に知っておきたい、iDeCoそのものの注意点

ポイントや手数料の前に、iDeCoという制度自体の性格を確認しておきます。ここを踏まえずに始めると、あとで困ることになります。

🔒

原則60歳まで引き出せない

途中で必要になっても現金化できません。生活防衛資金とは別のお金で始めるものです

📉

元本割れの可能性がある

投資信託で運用する場合、受け取る額が払った額を下回ることがあります

💵

持っているだけで費用がかかる

掛金を止めても、信託銀行への月66円は続きます

📋

受け取り方で税金が変わる

一時金か年金かなどで扱いが変わります。受け取る前に確認が必要です

この記事の位置づけ本記事は公式サイト・公式リリース・厚生労働省の資料に書かれている内容を整理した一般的な情報で、特定の金融商品の購入をすすめるものではありません。また、投資判断の助言でもありません。
手数料・還元率・対象銘柄・キャンペーンの内容は変更されることがあります。申し込む前に必ず公式サイトで最新の情報をご確認いただき、税制の扱いについてはご自身の状況に応じて税務署や専門家にご相談ください。
運営管理手数料 0円

手数料で差がつきにくくなった今、確認したいこと

iDeCoは金融機関を選ぶときに運営管理手数料が焦点になりますが、松井証券はここが0円で、残高や取引による条件もありません。そのうえで、ポイントの還元率・対象銘柄・毎月のエントリー条件は変更されることがあります。申し込む前に、必ず公式ページで最新の内容をご確認ください。

▶ 松井証券のiDeCoを公式サイトで見る
※ iDeCoは原則60歳まで引き出せません。運用の結果によっては受け取る額が払った額を下回ることがあります

まとめ

この記事の要点
  1. iDeCo対象銘柄の還元率は0.018〜0.36%。よく見る「最大1%」は投資信託サービス全体の数字で、iDeCoの上限は0.36%
  2. 受け取るには3つの条件が要る。総合口座とiDeCo口座/投信サイトでのiDeCo口座登録/毎月のエントリー
  3. 元本確保型(40商品中1本)は対象外。残りの39本はすべて対象
  4. 松井証券の運営管理手数料は0円で条件もない。ただし共通の手数料が毎月171円かかる(これは他社でも同じ)
  5. 2026年12月から制度が変わる。企業年金がない会社員の上限は23,000円→62,000円、加入は70歳になるまでに

ポイントは、あくまで"やっておけば少し戻ってくる"ものです。還元率でファンドを選ぶより、信託報酬や中身のほうが長い目では効いてきます。

そのうえで、条件を満たせば確かに戻ってくるお金でもあります。口座を開いたら、投資信託のサイトでiDeCo口座を登録して、毎月のエントリーを習慣にしておく。それだけの話です。

参考にした資料

・松井証券 iDeCo 公式ページ/手数料ページ
・松井証券 ニュースリリース 2024年6月26日(iDeCo取り扱いの投資信託がポイント還元対象に)
・松井証券「最大1%貯まる投信残高ポイントサービス」取引ルール
・厚生労働省 リーフレット「令和8年12月から iDeCo がパワーアップします!」