先に結論を書きます。
冬の高速道路で出る規制は、名前の似た2種類があります。オールシーズンタイヤで通れるのは、そのうち片方だけです。

「冬用タイヤ規制」は、側面にスノーフレークマークが付いていれば通れます。
「チェーン規制(全車両チェーン装着規制)」は、国土交通省が「スタッドレスタイヤを着けていても、タイヤチェーンをしていない自動車は通ることはできません」と明記しています。スタッドレスで通れないのですから、オールシーズンでも通れません。

そして、そのチェーン規制が出る区間は全国どこでもというわけではなく、国土交通省が13区間を指定して公表しています。自分の行き先が入っているかどうかは、先に調べられます。

この記事では、国土交通省・JAF・日本自動車タイヤ協会が公表している数字だけを使って、「オールシーズンタイヤで、どこまで行けてどこから行けないのか」を整理します。

結論:規制は2種類あり、オールシーズンで通れるのは片方だけです

冬にスタッドレスタイヤへ履き替えるかどうかは、毎年悩むところだと思います。私も交換そのものは店に任せていますが、「オールシーズンタイヤにしておけば履き替えなくて済むのでは」という話は毎年のように耳にします。
そこで引っかかるのが、高速道路の規制です。オールシーズンタイヤで規制中の高速道路に入れるのかどうかは、調べてもはっきり書かれていないことが多いところです。

理由は、冬の規制が1種類ではないからです。名前の似た規制が2つあり、その2つで扱いが違います。ここを分けて書かないと「走れる」とも「走れない」とも言えないため、曖昧な説明になりがちなのだと思います。

装備 規制なし 冬用タイヤ規制 チェーン規制
ノーマルタイヤ(夏用) 走行可 通行不可 通行不可
オールシーズンタイヤ
スノーフレークマーク付き
走行可 走行可 チェーンが必要
オールシーズンタイヤ
マークなし(M+S刻印のみ)
走行可 通行不可 チェーンが必要
スタッドレスタイヤ 走行可 走行可 チェーンが必要
※ チェーン規制の欄は、国土交通省「タイヤチェーン規制について」の記載(スタッドレスタイヤを着けていてもタイヤチェーンをしていない自動車は通れない)にもとづいています。冬用タイヤ規制の欄は、JAFの解説(スノーフレークマークが付いているタイヤは冬用タイヤ規制でも走行可能)にもとづいています。いずれも2026年8月26日時点の記載です。

表のとおり、オールシーズンタイヤは「冬用タイヤ規制」なら通れます。ただし条件が1つあり、それは商品名ではなくタイヤの側面に「スノーフレークマーク」が付いていることです。
一方の「チェーン規制」は、タイヤの種類では通れません。スタッドレスタイヤであってもチェーンが必要だと、国土交通省がはっきり書いています。

雪が積もった高速道路を走る車のイメージ
雪が積もった高速道路を走る車のイメージ

「冬用タイヤ規制」は、側面のマークで通れます

冬用タイヤ規制は、冬用タイヤかタイヤチェーンのいずれかを装着していない車が通行できなくなる規制です。冬の高速道路でいちばんよく出るのがこれにあたります。

ここでオールシーズンタイヤがどう扱われるかについて、JAF(日本自動車連盟)は次のように書いています。

JAFの解説(原文)「タイヤのサイドウォール部分に『スノーフレークマーク』が付いているタイヤは、高速道路で『冬用タイヤ規制』が実施されていても走行は可能です。」

スノーフレークマークは、三つの山の絵の中に雪の結晶が描かれた図です。タイヤの側面に刻印されています。つまり通行できるかどうかを決めているのは、「オールシーズンタイヤかどうか」ではなく「そのマークが付いているかどうか」です。

「M+S」だけの製品はマークとは別物ですオールシーズンタイヤの中には、側面に「M+S」(マッド・アンド・スノー)とだけ刻印されている製品があります。JAFはこれを「トレッドパターンを雪道や泥道などでも走行できるようにアレンジしたもの」と説明しており、スノーフレークマークとは別の表示です。買うときも、いま履いているタイヤを確かめるときも、見るのは雪の結晶が入ったマークのほうです。

なお、日本自動車タイヤ協会(JATMA)は「オールシーズンタイヤは、様々な気象条件/路面条件に幅広く対応するため、多様な性能を持たせて汎用性を高めたタイヤですが、どの部分の性能に重点を置いているかは商品毎に異なります」と書いています。
オールシーズンタイヤという一つのカテゴリで語れるものではなく、商品ごとに得意な路面が違うということです。カタログや商品ページを見るときは、この前提で読むことになります。

確かめるのは「側面のマーク」です

いま履いているタイヤに、スノーフレークマークは付いていますか

冬用タイヤ規制を通れるかどうかを決めているのは、タイヤの商品名ではなく側面のマークです。三つの山の中に雪の結晶が描かれた図が入っていれば冬用タイヤ規制の対象外として扱われます。付いていない場合は、規制が出た時点で通行できません。買い替えを検討するなら、商品ページでマークの有無を確認してください。

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※ サイズは運転席ドアのステッカー、または今のタイヤ側面の表記でご確認ください

「チェーン規制」は、スタッドレスでも通れません

もう一方のチェーン規制は、正式には「全車両チェーン装着規制」と呼ばれます。こちらは装着しているタイヤの種類にかかわらず、チェーンを着けていない車は通行できません。

国土交通省のページには、こう書かれています。

国土交通省「タイヤチェーン規制について」(原文)「今回のチェーン規制では、スタッドレスタイヤを着けていても、タイヤチェーンをしていない自動車はチェーン規制中に通ることはできません。」

スタッドレスタイヤで通れないのですから、冬性能がそれより下のオールシーズンタイヤで通れる理由はありません。実際JAFも「雪が深くなるなど、路面条件が悪化したときに出される『全車両チェーン装着規制』下では、オールシーズンタイヤもチェーンを装着しなければ通行することはできません」と書いています。

同じページには、4WD車についての記載もあります。「大雪の時の峠などでは、4WD車両は重量が大きいため、下り坂で急ブレーキをかけた時に、止まるまでの距離が長くなることから、チェーン規制中はタイヤチェーンを着けていないと通ることはできません」。
四輪駆動でも例外にはならない、ということです。

いつ出るのか

チェーン規制がいつ実施されるかについては、「大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるときに行います」と書かれています。毎年の雪で出るものではありません。
そのうえで、通行止めにする代わりにチェーンを着けた車は通す、という位置づけの規制です。国土交通省は「大雪時に通行止めを実施する場合でも、チェーン規制を実施し、タイヤチェーンを着けていれば通行できるようにすることで、これまでより積雪による通行止め時間を短くすることを目指します」と説明しています。

チェーン規制が出るのは、この13区間です

チェーン規制は、どこの道路でも出るわけではありません。国土交通省は「急な上り下りがある峠などで、過去に雪による立ち往生や通行止めが起こった場所の中で、タイヤチェーンを着脱できる場所や通行止めが解除されるまで待機できる場所がある区間で実施します」として、対象となる区間を公表しています。

2026年8月26日時点で掲載されているのは、直轄国道6区間と高速道路7区間の合計13区間です。

区分 都道府県 箇所名 区間 延長
国道112 山形 月山道路 西川町月山沢〜鶴岡市田麦俣 15.2km
国道138 山梨・静岡 山中湖・須走 山中湖村平野〜小山町須走字御登口 8.2km
国道7 新潟 大須戸〜上大鳥 村上市大須戸〜村上市上大鳥 15.3km
国道8 福井 石川県境〜坂井市 あわら市熊坂〜あわら市笹岡 3.2km
国道54 広島・島根 赤名峠 三次市布野町横谷〜飯南町上赤名 2.5km
国道56 愛媛 鳥坂峠 西予市宇和町〜大洲市北只 7.0km
上信越道 新潟・長野 E18 信濃町IC〜新井PA(上り線) 24.5km
中央道 山梨 E20 須玉IC〜長坂IC 8.7km
中央道 長野 E19 飯田山本IC〜園原IC 9.6km
北陸道 石川・福井 E8 丸岡IC〜加賀IC 17.8km
北陸道 福井・滋賀 E8 木之本IC〜今庄IC 44.7km
米子道 岡山・鳥取 E73 湯原IC〜江府IC 33.3km
浜田道 広島・島根 E74 大朝IC〜旭IC 26.6km
※ 国土交通省「タイヤチェーン規制について」に掲載されているチェーン規制箇所一覧(直轄国道6区間・高速道路7区間)を、2026年8月26日時点の掲載内容から書き起こしたものです。最新の指定区間は同ページでご確認ください。

自分が冬に走る道がこの13区間に入っていなければ、少なくともチェーン規制で足止めされる可能性は低いことになります。逆に、北陸道の木之本IC〜今庄IC(44.7km)や米子道の湯原IC〜江府IC(33.3km)のように長い区間が指定されている道を冬に使う予定があるなら、チェーンは積んでおくものとして考えることになります。

なお国土交通省は「チェーン規制時には、規制区間の手前でタイヤチェーン装着状況の確認を行います」とも書いています。手前で確認されるので、着けずに入って途中で判明する、という形にはなりません。

積んでおけば、引き返さずに済みます

チェーン規制は、タイヤの種類では通れません

チェーン規制が出た区間は、スタッドレスタイヤでもオールシーズンタイヤでも、チェーンを装着していなければ通行できません。逆に言えば、トランクに1組積んであれば通れます。国土交通省は金属チェーン・ウレタン&ゴム製・布製カバーの3種類を挙げており、自動車用品店で売られているものであれば問題ないとしています(薬剤を吹き付けるスプレータイプは不可です)。

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※ タイヤサイズに適合するものをお選びください

タイヤに装着されたチェーンのイメージ
タイヤに装着されたチェーンのイメージ

氷の上では、オールシーズンはノーマルタイヤに近い数字でした

規制を通れるかどうかは、あくまで通行の可否です。止まれるかどうかは別の話になります。
JAFは2017年2月、圧雪路と氷盤路で制動距離を計測するテストを行っています。制動初速は時速40km、3回実施した平均値で、タイヤはすべて新品です。

タイヤ 圧雪路 氷盤路 氷盤路でスタッドレスとの差
スタッドレスタイヤ 17.3m 78.5m
オールシーズンタイヤ 22.7m 101.1m +22.6m
ノーマルタイヤ(夏用) 29.9m 105.4m +26.9m
※ JAFが2017年2月に実施した制動距離テストの結果です。制動初速は時速40km、3回実施した平均値で、タイヤはすべて新品を使用しています。圧雪路は雪が踏み固められた路面、氷盤路はスケートリンクのように凍結した試験用路面です。

圧雪路では、オールシーズンタイヤはノーマルタイヤより13m近く短く止まっています。雪が積もった路面でノーマルタイヤより有利なのは、この数字のとおりです。

ただし氷盤路の列を見ると、話が変わります。オールシーズンタイヤは101.1m、ノーマルタイヤは105.4mで、その差は4.3mです。一方でスタッドレスタイヤとは22.6m離れています。
JAFはこれを「スタッドレスタイヤに比べて20m以上も制動距離が延びて、むしろノーマルタイヤに近い数値となっています」と書いています。凍結した路面では、オールシーズンタイヤはスタッドレス側ではなくノーマルタイヤ側に位置する、ということです。

冬用タイヤ規制を通れることと、凍った路面で止まれることは、別々に考える必要があります。規制を通れる装備であることは、性能の保証ではありません。

チェーンは「積んである」だけでは足りません

チェーン規制に備えてチェーンを買う場合、国土交通省のページに書かれている条件がいくつかあります。

どのチェーンなら通れるのか

「チェーン規制中に通ることのできるタイヤチェーンは、自動車用品店などで販売されているものであれば問題ありません」としたうえで、金属チェーンタイプ、ウレタン&ゴムチェーンタイプ、布製カバータイプの3種類が挙げられています。
ただし「スプレーのように薬剤を吹き付けるタイプのものではチェーン規制中に通ることはできません」と明記されています。滑り止めスプレーは、チェーンの代わりにはならないということです。

どこに着けるのか

「駆動輪にタイヤチェーンを着けることが基本です」と書かれています。前輪駆動なら前、後輪駆動なら後ろ、ということになります。
また日本自動車タイヤ協会は「タイヤサイズに適合するサイズのものを駆動輪又は自動車製作者が指定する位置のタイヤに装着してください」としています。車種によっては装着位置が指定されている場合があるため、取扱説明書を確認しておくことになります。

着けたら、速度が制限されます

チェーンの種類 積雪路・凍結路での走行速度
金属チェーン 時速30km以下
非金属チェーン 時速50km以下
※ 日本自動車タイヤ協会(JATMA)「冬道走行とタイヤ」に記載されている速度です。

チェーンを着けたまま高速道路を流れに乗って走る、ということはできません。
また「タイヤにチェーンを装着して、積雪又は凍結していない道路を走行すると、タイヤ、タイヤチェーン及び車両を損傷したり、スリップするおそれがあるので避けてください」とも書かれています。雪のないところまで来たら外す、という前提の道具です。

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※ サイズ適合は商品ページでご確認ください

高速道路の前に、一般道にも決まりがあります

規制の話は高速道路が中心になりますが、積雪・凍結した路面での滑り止めは、一般道でも義務になっています。

日本自動車タイヤ協会は「積雪又は凍結した路面では、冬用タイヤの装着等いわゆる防滑措置の義務が都道府県道路交通法施行細則又は道路交通規則(運転者の遵守事項)によって規定されています。(沖縄県を除く)」として、違反した場合の反則金を挙げています。

防滑措置義務の反則金(2025年8月現在)大型:7千円/普通:6千円/自動二輪:6千円/原付車:5千円。条文は都道府県ごとに定められており、「全車輪にすべり止めの性能を有するタイヤを取り付けること」「駆動輪の全タイヤに鎖その他のすべり止めの装置を取り付けること」といった形で規定されています(表現は都道府県により異なります)。

規制の看板が出ていなくても、路面が凍っていれば対象になります。普段雪が降らない地域でも、条文がある以上は同じです。

去年のタイヤが「冬用」のままとは限りません

もう一つ、見落としやすいのが溝の深さです。日本自動車タイヤ協会は、冬用タイヤについてこう書いています。

JATMA「冬道走行とタイヤ」(原文)「積雪路及び凍結路走行の場合は、冬用タイヤの残り溝深さが新品時の50%以上あることを確認してください。(接地部にプラットホームが設けられているタイヤの場合は、これが露出しているか否かで判断して下さい。)溝深さが50%未満のタイヤは冬用タイヤとしては使用しないでください。」

夏用タイヤの使用限界を示すスリップサイン(残り溝1.6mm)とは別に、冬用タイヤには「プラットホーム」という別の印があります。これが出ているタイヤは、溝がまだ残っていても冬用タイヤとしては使わないでください、という位置づけです。

オールシーズンタイヤも、冬用タイヤ規制を通る装備として使うのであれば同じ考え方になります。履きっぱなしで何シーズンも使えるのがオールシーズンタイヤの利点ですが、冬の性能だけは先に落ちていく、と考えておくことになります。

結局、どう考えればいいのか

ここまでの内容を、判断の順番に並べ直すとこうなります。

・冬に走る道が、チェーン規制の13区間に入っているか。入っているなら、タイヤの種類にかかわらずチェーンを積む前提になる
・凍結した路面を走る可能性があるか。あるなら、氷盤路で22.6mの差があるスタッドレスタイヤを選ぶ理由になる
・雪が積もる回数が年に数回で、凍結路まではまず走らないか。そうであれば、スノーフレークマーク付きのオールシーズンタイヤが選択肢に入ってくる
・いま履いているタイヤの側面に、雪の結晶のマークがあるか。無ければ、冬用タイヤ規制が出た時点で通行できない

オールシーズンタイヤは、履き替えの手間と保管場所をなくす代わりに、凍結路の性能を諦める選択です。そこを分かったうえで選ぶのであれば、冬用タイヤ規制まではきちんと通れる装備になります。
「これ1本で冬のどこでも行ける」という道具ではない、という一点だけを外さなければ、判断を間違えることはないはずです。

タイヤ側面のマークを確認しているイメージ
タイヤ側面のマークを確認しているイメージ

まとめ

・冬の規制は「冬用タイヤ規制」と「チェーン規制」の2種類ある
・冬用タイヤ規制は、スノーフレークマーク付きのオールシーズンタイヤなら通れる
・通行の可否を決めているのは商品名ではなく、側面のマークの有無
・「M+S」の刻印だけの製品は、スノーフレークマークとは別物
・チェーン規制は、国土交通省が「スタッドレスタイヤを着けていてもタイヤチェーンをしていない自動車は通ることはできません」と明記している
・4WDでも例外にはならない
・チェーン規制の対象は全国13区間(直轄国道6・高速道路7)で公表されている
・規制区間の手前で、チェーンの装着状況が確認される
・スプレー式の滑り止めは、チェーンの代わりにならない
・チェーン装着時の速度は金属30km/h以下、非金属50km/h以下
・氷盤路の制動距離はオールシーズン101.1m、ノーマル105.4m、スタッドレス78.5m
・冬用タイヤは残り溝が新品時の50%を切ったら、冬用としては使わない
・積雪・凍結路の滑り止めは、一般道でも義務(沖縄県を除く)

※この記事の内容は2026年8月26日時点で、国土交通省「タイヤチェーン規制について」、JAF「オールシーズンタイヤって、どんなタイヤですか?」、一般社団法人日本自動車タイヤ協会「冬道走行とタイヤ」に掲載されていた内容にもとづいています。チェーン規制の対象区間や規制の運用は変更されることがあります。実際に走行される前に、国土交通省および各道路会社の最新の情報を必ずご確認ください。また、タイヤの性能は商品ごとに異なります。個別の商品については各タイヤメーカーの公表内容をご確認ください。なお本記事にはアフィリエイト広告を含みます。