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先に結論を書きます。
法人成りを考えるきっかけは、たいてい「所得税の税率が上がってきた」ことです。
ところが、税率の比較だけで決めると、法人にしたとたんに毎年かかり始めるお金を見落とします。

赤字でもかかる住民税の均等割、社長1人でも加入する社会保険、決算を頼む税理士の費用。
そして、インボイスに登録している人は、よく言われる「法人成りで消費税が2年免除」がそもそも使えません。

この記事では、国税庁や日本年金機構の公式情報だけを使って、法人成りの前に見ておきたい数字を整理します。
最後の判断は自分の数字で試算するしかないので、そのための相談先として、無料で税理士を紹介してもらえる弥生のサービスも紹介します。

税率だけ見ると、課税所得330万円で逆転する

個人の所得税は、所得が増えるほど税率が上がる仕組みです。
一方、資本金1億円以下の会社の法人税は、年800万円までの部分が15%、それを超える部分が23.2%です。
2つを並べると、次のようになります。

課税される所得金額 所得税(個人) 法人税(中小法人)
195万円未満 5% 15%
195万円以上330万円未満 10% 15%
330万円以上695万円未満 20% 15%
695万円以上800万円以下 23% 15%
800万円超900万円未満 23% 23.2%
900万円以上1,800万円未満 33% 23.2%
1,800万円以上 40%〜45% 23.2%
※ 国税庁タックスアンサーNo.2260(所得税の税率)とNo.5759(法人税の税率)の記載(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月10日確認)をもとに、この記事が並べたものです。どちらも「その区分に入った部分」にかかる税率で、所得全体にかかる税率ではありません。法人税は資本金1億円以下の法人などの税率です。所得税には復興特別所得税、どちらにも住民税・事業税などが別にかかります。

課税所得が330万円を超えた部分には、所得税で20%がかかります。
同じ金額が会社の利益なら、法人税は15%です。
法人成りをすすめる話の多くは、この差を根拠にしています。

ただ、この表をそのまま「330万円を超えたら法人成り」と読むことはできません。
法人にしても、会社のお金を自分の生活費に使うには、役員報酬として受け取る必要があります。
役員報酬は自分の給与なので、そこにはまた所得税と住民税がかかり、社会保険料も引かれます。
利益を会社と自分にどう分けるかで、合計の負担は大きく変わります。

法人にすると、利益に関係なく毎年かかり始めるお金

税率の差で浮くお金と比べないといけないのが、会社を持つことで毎年かかるお金です。
個人事業のあいだは無かったものが、主に3つあります。

項目 金額の目安 ポイント
法人住民税の均等割 年7万円前後 利益が出ていなくてもかかる。資本金1,000万円以下・従業者50人以下の場合、市町村分5万円+都道府県分2万円が基本で、自治体の上乗せで変わる
社会保険料 役員報酬の額で決まる 法人の事業所は健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所。保険料は会社と本人で半分ずつだが、会社の分も自分の会社が払う
税理士の報酬 決算申告だけで
15万円〜が相場の一例
弥生の案内での例(東京・年商1,000万円の法人の決算)。事業の形・規模・地域で変わる
設立時だけの費用 登録免許税
株式会社15万円〜
合同会社6万円〜
資本金の1,000分の7で、それぞれ最低額が決まっている。株式会社は別に定款の認証手数料がかかる
※ 均等割は千葉市・川崎市(市町村分)と沖縄県・岩手県(都道府県分)の案内、社会保険は日本年金機構、登録免許税は国税庁タックスアンサーNo.7191、税理士の報酬は弥生株式会社の税理士紹介サービスのよくある質問の記載(いずれも2026年10月10日確認)をもとに作成。所在地の自治体によって金額が異なります(例:横浜市は市民税分だけで年54,500円)。
法人にすると、利益に関係なくかかるお金が増える
法人にすると、利益に関係なくかかるお金が増える

いちばん見落としやすいのは均等割です。
法人住民税のうち均等割は、利益に対してではなく、会社があること自体にかかります。
赤字の年でも、資本金1,000万円以下の小さな会社で年7万円前後を払うことになります。

社会保険は、金額がいちばん大きくなりやすい項目です。
日本年金機構の案内では、法人の事業所は健康保険・厚生年金保険の加入が義務づけられた事業所です。
社長1人の会社でも、役員報酬を払えば社長自身が加入することになります。
保険料は会社と本人で半分ずつ負担しますが、会社の分を払うのも結局は自分の会社です。
その代わり、国民健康保険と国民年金からは外れ、厚生年金に入ることになります。
将来の年金が増えるので、単純な出費とは言い切れませんが、手元に残るお金は減ります。

税理士の報酬は、絶対にかかるものではありません。
ただ、法人の決算と申告は個人の確定申告より手間がかかり、自分でやるか頼むかを決める必要があります。

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※ 弥生の税理士紹介サービス。紹介された事務所と契約するかどうかは自分で決められます

インボイスに登録している人は「消費税2年免除」が使えない

法人成りのメリットとして、昔からよく挙げられるのが「消費税が2年間免除される」という話です。
国税庁の案内でも、新しく作った会社は、基準期間(2期前)がない設立1期目と2期目は、原則として消費税の納税義務が免除されるとされています。

ただし、免除されない場合がいくつか書かれています。

📄

インボイスに登録している

適格請求書発行事業者の登録を受けていると、売上の大きさに関係なく免除されません

💰

資本金が1,000万円以上

設立した期の初めの資本金が1,000万円以上の会社は、1期目から免除されません

📅

最初の6か月の売上が大きい

原則として1期目の最初の6か月の課税売上高が1,000万円を超えると、2期目は免除されません(課税売上高の代わりに給与の支払額で判定することもできます)

いま個人事業で取引先からインボイスを求められて登録している人は、会社でも取引先は同じです。
会社でインボイスの登録をしなければ取引先が困るなら、会社も登録することになり、1期目から消費税を納めることになります。

つまり、免税の2年間を当てにして法人成りの損得を計算すると、インボイスに登録している人は数字が合わなくなります。
取引先がインボイスを必要としているかどうかは、税率よりも先に確認しておきたい点です。

法人成りでは、会社でもインボイスの登録をやり直しますインボイスの登録は、個人事業者としての登録と会社としての登録が別です。
個人で受けた登録番号を会社に引き継ぐことはできません。
会社を作ったら、改めて会社として登録の申請をすることになります。

法人成りの判断に必要な4つの数字

ここまでの話を自分のケースに当てはめるには、少なくとも次の4つが必要です。

1. 直近2〜3年分の確定申告書と青色申告決算書(所得がどう伸びているか)
2. 今年の売上と経費の見込み(来年以降も同じ水準が続きそうか)
3. 自分の生活に毎年いくら必要か(役員報酬をいくらにするかの目安)
4. 取引先のうち、インボイスを必要としている先の割合

これに、家族に給与を払っているか、住宅ローンや融資の予定があるか、といった事情が重なります。
役員報酬の額で所得税・住民税・社会保険料が同時に動くので、自分で表計算を組んで正確に出すのは、正直かなり手間がかかります。

税率の逆転だけで決めず、「何年続く所得か」で考える法人は、作るのにも閉じるのにも費用と手間がかかります。
単年だけ所得が跳ねた年に法人を作ると、翌年以降に所得が下がったとき、均等割と社会保険料が重く残ります。
相談のときは、去年と今年の数字だけでなく、この先数年の見込みも一緒に伝えると、試算の精度が上がります。

試算を頼む税理士は、弥生の紹介サービスで無料で探せる

法人成りの試算は、税理士に頼むのがいちばん早い方法です。
ただ、知り合いに税理士がいない人は、どこに頼めばいいかで手が止まります。

弥生株式会社の「税理士紹介サービス」は、相談内容を伝えると、条件に合う税理士・会計事務所を紹介してもらえるサービスです。
公式ページでは、相談の対象として「現在の事業状況で法人成りすべきかどうか判断できない」という悩みや、株式会社か合同会社かの選び方、創業融資が挙げられています。
法人成りを決めてからではなく、決める前の段階から相談できるということです。

法人成りするかどうかを決める前から相談できる
法人成りするかどうかを決める前から相談できる

公式ページとよくある質問に書かれている内容は、次のとおりです。

・紹介は無料
・最短当日に案内(申し込みの時期や状況によっては当日中に案内できない場合あり)
・紹介先は全国14,000の弥生PAPに入会している会計事務所(2026年3月現在)
・紹介された事務所が合わなければ、別の事務所を紹介してもらえる
・複数の事務所を一度に紹介してもらって比べられる
・メールやZoom、LINE、Chatworkなど、会わずにやりとりできる事務所も紹介してもらえる
・会社設立の相談について、初回相談は無料と案内されている

申し込みはWebフォーム(24時間受付)か電話(平日の日中)です。
申し込むと、まず弥生から連絡があり、必要に応じて電話で詳しい状況を聞かれます。
そのあと紹介された会計事務所から提案があり、納得すれば契約、という流れです。

紹介は無料/最短当日に案内/全国14,000のパートナー会計事務所

法人成りするかどうかを、自分の数字で試算してもらう

弥生の税理士紹介サービスは、相談内容を伝えると、条件に合う税理士・会計事務所を無料で紹介してもらえるサービスです。「法人成りすべきかどうか判断できない」という段階から相談の対象になっていて、合わなければ別の事務所を紹介してもらえます。複数の事務所を一度に紹介してもらうこともできます。

▶ 弥生の税理士紹介サービスを見る(無料)
※ 紹介は無料ですが、紹介された会計事務所と契約したあとの報酬は事務所ごとに異なります。Webフォームは24時間受付です

注意したいのは、無料なのはあくまで紹介だということです。
紹介された会計事務所と顧問契約や決算の依頼をすれば、その事務所の報酬がかかります。
金額は事務所ごとに違うので、提案を受けた時点で、試算だけの依頼か、設立後の決算まで頼むのかを分けて見積もってもらうと比べやすくなります。

法人成りを決めたら:設立の書類と本店の住所

試算の結果、法人成りすると決めたら、次は会社の設立です。
司法書士や紹介された税理士の提携先に任せる方法と、自分で書類を作る方法があります。

設立には、資本金の1,000分の7の登録免許税がかかります。最低額は株式会社が15万円、合同会社が6万円です(国税庁)。
株式会社はこれに加えて、公証役場での定款の認証が必要です。

法人成りを決めたあと、設立の書類を自分で作るなら、同じ弥生の弥生のかんたん会社設立があります。入力に沿って株式会社・合同会社の設立書類を作れるサービスで、電子定款に対応しているため、紙の定款で必要になる印紙代4万円がかかりません。

自宅で開業している人は、会社の本店所在地をどこにするかも決める必要があります。登記簿の住所は誰でも見られるので、自宅を出したくない人はバーチャルオフィスの住所を使う方法があります。費用の例はバーチャルオフィス1は1年でいくら?初年度16,060円の内訳にまとめています。

まとめ

この記事の要点は5つだけ
  1. 課税所得が330万円を超えると、所得税の税率(20%)が法人税(15%)を上回る。ただし税率の比較だけでは決まらない
  2. 法人にすると、均等割(年7万円前後・赤字でも)・社会保険料・税理士報酬が毎年かかり始める
  3. インボイスに登録している人は、法人成りしても消費税は免除されない
  4. 判断に必要なのは、確定申告書・今年の見込み・役員報酬・取引先とインボイスの4つの数字
  5. 試算は税理士に頼むのが早い。弥生の税理士紹介サービスなら紹介は無料で、合わなければ別の事務所を紹介してもらえる

法人成りは、税率の表だけ見ると早く決めたくなりますが、実際には毎年の固定費と消費税で答えが変わります。
とくにインボイスに登録している人は、昔から言われてきた「2年免除」を前提にしないことが大事です。

自分の数字をそろえたら、あとは税理士に試算してもらうのが近道です。
紹介を頼むのは無料なので、法人成りするかどうか迷っている段階で一度相談しておくと、決めるべき時期を逃しません。

制度・税率は変わることがあります。手続きの前に必ず確認してくださいこの記事の内容は、2026年10月10日時点で国税庁・日本年金機構・各自治体・弥生株式会社の公式サイトに掲載されていた情報をもとにしています。
税率や均等割の金額は所在地や事業年度によって異なります。

実際に法人成りするかどうかは、自分の数字をもとに税理士や所轄の税務署に確認してから判断してください。

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